「いまさら振っといていえないよ…!」
「安心しろ、あいつ好きだから。アンタの事」
「そんなの確定じゃないじゃない」
「俺がこの耳で聞いたから」
「もしかしたら気が変ってるかもしれないじゃない」
「…アンタ、好きだったんじゃないの高校の時から」
「た、ぶん」
「んだよ、その“た、ぶん”っていうのはよ」
「だって好きって気持ちがあの時はよくわからなかったというか」
「幼稚園生レベルかよ」
「それ、ヒル魔くんにも言われた」
「つーかなんでヒル魔のこと」
「先輩!」
「ヒル魔先輩のこと振ったんだよ」
「アメフトの邪魔したくなかったの」
「馬鹿じゃねー」
「ばかって言わないで。本当にばかだと思ってるから」
「その馬鹿さを利用して、コクってこいよ」
「やだやだやだ絶対無理!!」
「大丈夫だっつってんだろ」
「だって恥ずかしい」
「あのな、毎年これを聞く俺の気持ちにもなってくんない?」
「そうだよね、うん、そうなんだけど…」
「つーか誕生日プレゼントそんな風に渡してるからみんな姉崎先輩は
ヒル魔先輩の彼女だと思ってるぞ」
「え!?そうなの!?」
「…あー、いらいらする俺が言ってきます」
「だだだダメ!それだけはさせられない」
「じゃあ言わなくていいから早く行ってこいってば」
「いや今年こそ言わないと後悔する気がしないでもない…」
「どっちなんだよ、アンタはよォォォ!!」
「わかりました!!言います、言います!でも」
「でもなんていったらいい?じゅうもんじくーんはナシだから」
「…私、そんなぶりぶりしてる?」
「若干脚色してるが今の状態だとほぼ近い」
「え、私そんななの…?」
「そんなことにショック受けてねーでとっとと言って来てください」
「行って?言って?どっち?」
「告白してきてください、の方の言ってです」
「…」
「大丈夫ですんで」
「うん…がんばる」
「頑張らなくてもいいから大丈夫っすよ」
「…ねぇ、十文字君」
「なんすか」
「………もし振られたら」
「…」
「…」
「…振られたら?」
「………話、聞いてね」
「…ええ、話、聞きますよ。ですから言ってきてください」
「はーい」
「なぁ、トガ、今日飲みにいかねぇ?」