「いっとくけど、処女じゃないから」
ベッドに二人して沈みこみ、甘ったるいキスをした飽きる程した後、
ようやく服に手をかける空気となった。
シスターとしては心臓が口から出そうな程鼓動しているのに、
その思いを知ってか知らずか…いや知っているであろうにマリアはそんなことを
素知らぬ顔で色気もない事を口にする。折角彼が必死になって作った空気をぶち壊す破壊神。
男は最初の男になりたがり、女は最後の女になりたがるというが彼はどちらかといえば
後者の思考だった。しかし実際にそれを聞くと自分も所詮雄だったということを実感させられた。
シスターは止まってしまった手を「聞かなかったふり」をして再び動かし始めた。
「残念?」
「…まぁ、この歳で経験がないというのも」
「この歳?」
シスターの首筋に一体どこに隠し持っていたのか神速でナイフを取り出し、刃を当てる。
首の血管までどくどくと鳴っているのにそんなのを当てられては刃が血管を傷つけ血液を噴射してしまう。
すまん、と一言詫びると満足したのかマリアはサイドテーブルに愛器を置いた。
シスターはすっかり手が止まってしまって組み敷いているマリアを見つめるだけしかできなかった。
「あなただって童貞じゃないんでしょ?」
「まぁ…」
「どうせ相手は男なんでしょうけど」
図星だった。
マリアは妖艶な笑みを浮かべてシスターの頬を撫でる。
色は普段を変わらないのに溶けそうなほどの熱が手に伝わるとマリアは目をつぶって
その手をそのまま後頭部へ持っていってぐ、と自分に近づけた。
耳元でそっとマリアは言った。
「いいわ、私が初めて、もらってあげる」
それを皮切りに漸く彼は彼女のワンピースのファスナーを降ろした。